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ホームコラム・寄稿フェローの連載IoT, AI等デジタル化の経済学 IoT, AI等デジタル化の経済学 第57回「第4次産業革命を担う人材の育成:ドイツの動向(6)」 印刷 岩本 晃一 上席研究員 2017年6月、ドイツを訪問し、ミュンヘン専門大学(Hochschule für angewandte Wissenschaften München ;英文名 Munich University of Applied Sciences )におけるデータサイエンティストの育成について、同大学のクリストフ・マウラ教授(機械学部)およびラーズ・ブレム教授(経営学部)と意見交換した。同大学では、2016年に、新しく下記のデータサイエンティストを養成する修士課程を設置した。 New master study program "Business Entrepreneurship and Digital Technology Management" (M.Sc. - Master of Science - Business Administration) ミュンヘン専門大学のなかの様子 ミュンヘン専門大学のホームページ https://www.hm.edu/ 1 自己紹介とデータサイエンティスト修士課程の説明 (マウラ) 私は機械学部の教授をしております。その前の12年間は企業で開発部長として働いていました。どのような新しい開発が、どのようにして進められていくのか、現場で肌で感じていました。開発は開発でも、開発の前段階の開発工程が私の専門です。最初は頭の中にアイデアがある、という状態からスタートする工程が私の専門です。 (ブレム) 私は、この大学で経営学の研究を行っています。私はこの大学で3年働いていますが、私もここに来る前は企業で働いていました。コンサルティングが専門です。プロジェクトに携わって日本に行ったこともあります。今、私が担当しているのは、経営学のなかのIoT関連が専門です。言い換えれば、「IoTプロジェクトマネジメント」です。もう1つ申し上げたいのは、この大学は、応用科学を専門とした大学です。私たちにとっては実際に行われている現場とのつながりがとても大事なのです。教育も行っていますが、現場に即したところが一番大事なところです。 (マウラ) ドイツには、フラウンホーファー研究所のような研究所があり、彼らは彼らなりのスタンスでIoTを進めています。またドイツには、強い中小インダストリー企業があり、彼らなりのスタンスでIoTを進めています。ですが、半分が知識で、半分が現場という、かなりずれていることがあり、このままでいいのか、という状況がよく見られます。シーメンスのように、独自の部署で独自に研究を行い、独自の用途として実用化しているという大企業もあります。 IoTといえばビジネスモデルが重要ですが、企業がいまの状況に対応するため、大学や研究所などが協力して、新たな分野を開拓しようという努力もあります。我々の大学の学生は、卒業したら現場で機械の操作をするのではなく、管理職になります。それを踏まえて教育を行っています。日本にはインダストリー4.0に関する教育機関はありますか。 (岩本) ありません。ドイツでは専門大学でのIoT人材育成が最も重要だと思ったので本日ここにインタビューに来ました。 (ブレム) インダストリー4.0といっても、製造の面、開発の面、研究の面、実践の面、ビジネスモデルの面があります。 (マウラ) 彼は経営学が専門ですが、私はエンジニアです。モジュールの中にインダストリー4.0が組み込まれています。私はエンジニアとして、実際にインダストリー4.0を実行するには、ベーシックな知識が必要だと主張しています。私は伝統的にエンジニアが知らなければならないことは全て勉強してほしいと思います。 (ブレム) それでは我々が作った動画をお見せしたいと思います。 https://www.youtube.com/watch?v=wI7C3EwzZlY これは、デジタル・テクノロジー・マネージメント修士課程のプログラムです。この過程は、古典的な学士課程のプログラムに修士課程を追加しています。授業は全部英語です。なぜなら学生は世界中から来ているからです。今、12カ国の学生が修士課程にいます。 去年からスタートして、今2年目です。2016年からこのカリキュラムがスタートしました。2015年の時点で、実は似たようなプログラムがありました。そこにインダストリー4.0関係の教育内容を組み込んだのです。それを追加後、2016年の冬学期9月からスタートさせました。 追加したアイデアは、私たちが、自分自身で考えた内容です。その元になったアイデアは、参考にしたものはなく、教授が自分たち自身で集まっていろいろ議論しました。今の現状で、IoTまたはデジタル化で何が必要か、というのを、みんなで議論して決めました。 2 人材育成の考え方と育成手法 (マウラ) 私からも追加したいことがあります。今、ビデオを見ていただいても分かると思うのですが、現場から離れていません。学生が自らプログラミングするデザイン・シンキングという時間もあります。私たちが準備した上で学生にやってくれ、というのではなく、学生がイチから自分の力でできることが大事なのです。その訓練を経て卒業した後に素晴らしいエンジニアとしての能力が備わり、さらに知識が加わります。その能力が社会に出て現場でも役に立つということを教えることが大切です。 いま私が日々感じていることは、昔は機械、デザイン、経営などに細かく別れていましたが、我々のコースでは、必要な全ての知識と能力を備えた人材が育ってきているということです。 (ブレム) 各学部の学生を混ぜて、この学部だからこれだけしか学ばないというのではなく、教授もあちこちに参加したり、交代して授業に行くというような交流がとてもいい効果をもたらしています。 (マウラ) なぜそれが可能か、というと、2人のデザイナー、2人のエンジニア、2人の経営学という学生のチームを作ります。そのチームが、あるテーマを自分たちでクリアする、という課題設定をします。そのテーマは、全ての知識がないとできないことです。それを学生が議論しながらやるのです。また、そのテーマで大事なことは、エンジニアとデザイナーは全然観点が違っていたり、言語が違っていることです。学生は、そうした違いがあり、他の学部ではこういうのを気にしている、ということを知ることがまず大切なのです。それを、知ったうえで、学部に分かれていたらできないような、学部の枠を取っ払って、仕事ができる人材を育成することが可能になります。 (ブレム) それと同時に、私たち自身も、たとえばソフトウェアで実行する状況をハードウェアで一体どのように実現できるか、などといった研究を行います。そうした研究を行う際にも、エンジニアと経営学という形で同時に研究を行います。 (マウラ) 私が勉強したことは、私の同僚は、私が知らないことを知っているということです。大切なのは、教授自身がお互い一緒に働くということです。 (ブレム) 教授は全て仕事経験や現場経験があります。以前勤めていた企業では、インダストリー4.0は、このような捉え方をされていて、こういう実行がされていた、という経験です。 (岩本) 企業で、インダストリー4.0は何年ぐらい経験されましたか。 (マウラ) 私は、経験はありません。私はとても古い保守的な会社で教育を受けたエンジニアです。私が働いているときは、まだインダストリー4.0はありませんでした。私が教授になった後に、インダストリー4.0が出現してきたので、自分で勉強しました。 ただ、私はとても好奇心が強いタイプです。教授になっても、エンジニアであり続けるため、一般企業とのつながりを維持し続けています。実際、自分は、企業の社員としてインダストリー4.0に携わった経験はないですが、教授としていろいろな企業を訪問し、現場でのインダストリー4.0を見て、研究もしています。 (ブレム) 私は3年前からこの大学の教授ですが、教授になる前からインダストリー4.0を経験しています。私は経営学が専門ですが、その中でもIT、デジタル化が専門です。インダストリー4.0はまさに私の専門分野です。 (マウラ) 1人1人の教授の資質に依るところが大きいと思うのですが、私は好奇心旺盛で、しかも教授という、時間が自由になる立場にあるので、これに興味がある、あれに興味がある、といろいろなことができるわけです。 その点からいえば、私たちの大学はかなり自由度が大きいです。いろいろな新しいことにチャレンジできるので、カリキュラムやその他のことを、私たち自身が決められます。 (ブレム) ミュンヘンという都市はとても大きく、IoTに関連した企業やIT企業、たとえばマイクロソフトなど、IT関連企業が多く集まっています。ミュンヘンの人々の多くは、インダストリー4.0にとても興味があるので、実際にいろいろと携わっている人も多く、活動が盛んです。そのため、自分が仕事のために企業を訪問するとき、学生をよく連れていって、企業のなかを学生に見せます。 (岩本) ドイツの人材育成の考え方は、企業での即戦力に必要なインダストリー4.0の知識や経験を大学で身に付けて、そして企業に就職させるという考え方と理解していいでしょうか。 日本の場合は、大学では現実的、実践的な教育はほとんど行われず、学術研究的な内容を教えています。ですから、大学で習った知識で企業に就職したとしても、企業にとっては全く役に立たない知識なので、企業は、自社内で新卒の採用した学生を3〜4年かけて、実践的な教育や知識を付けさせて、やっと一人前の仕事ができるビジネスマンに育てていきます。 (ブレム) 岩本さんの理解のとおりです。ドイツの専門大学では、就職したら現場でその日から働ける人間を育成しています。ドイツでは、大学は、研究や学術に重きを置いていることが多いのですが、私たちのような専門大学は、テーマがはっきりしているので、現場に即した教育を行っています。いずれにしても大学を卒業した時点で、ゼロから教えないといけない、ということはないです。現場で働けるような人材です。 (マウラ) いま私たちが力を入れて教えている学生は、1、2年じゃなくて、3、4年です。ある程度の実力を持つようになった学生に対して、インダストリー4.0関係のプロジェクトを与え、実際に何かを行ってもらうことで更に実力をつけてもらいます。 私が、各会社を訪問して、何かいいプロジェクトはないですか、と聞いて歩き、企業側から、こういういいプロジェクトがありますよ、と教えてもらったら、学生を企業のプロジェクトのなかに組み込み、学生に実際にやらせます。当然ながら、学生は私の管理下にあります。そうすることで、学生の段階で、企業とのコンタクトが生まれ、学生のうちに、企業で実際にどのように行われているか、体験できます。 (ブレム) 私も同じです。先ほどビデオでも見ていただきましたが、何社か、我々の大学のパートナー企業であることを説明していましたね。 (マウラ) 企業のプロジェクトに組み込まれた学生は、各企業の管理職などと付き合いが生まれてきます。企業側が、その学生が優秀だと感じたら、マネージャーが、「卒業したらうちに来ない?」と言います。そうして就職や仕事が決まるケースがほとんどです。 (ブレム) ドイツでは、行政が方向転換し、特定の学部の数を我々の判断だけでかなりの人数まで増やせることができるようになりました。ある特定のテーマに即した人材をすぐに、そして大量に育成することが可能になりました。たとえば、さきほど説明したIoT分野の修士課程がありますが、それと同時にサイエンスやマーケティングなど、そのIoTに関連した他の分野も簡単に学生数を増やせるようになりました。しかもその中で細かく分野が分かれています。 (マウラ) 技術分野も同じです。たとえばシミュレーションとか、マテリアルとか、とても細かく専門を分けることができるようになったので、それぞれの知識を持った学生を十分に育成することが可能になりました。 (ブレム) 我々の大学の教授は、皆さんとても熱心で、企業を頻繁に訪問し、プロジェクトを取ってきます。 (岩本) そのインダストリー4.0の教育を受けた学生は、もう世の中に出て働いているのですか。 (ブレム) 現時点でまだ2年目なので、社会には出ていません。大体、3セメスターすなわち1年半必要と言われています。ですが、ここの修士課程は、大抵3セメスターでは終わらないので4セメスターまで進んで、2年で終わるようになっています。 3 産業界の反応 (岩本) 産業界の反応はいかがですか。 (マウラ) 学生たちの優秀さにびっくりしています。学生時代なのに、もう既に会社からスカウトが来て契約している学生がたくさんいます。会社と契約すると、その会社の社員になります。大学には社員として通ってくることになります。学生を続けるという条件で、就職します。卒業したらそのまま会社で働くことになります。 (ブレム) 卒業し次第、そのまま会社で働く学生は結構います。他の学部にもそういう学生はたくさんいます。 (岩本) そういう訓練を受けた学生が本格的に社会に出るようになったら、ドイツの産業界はとても発展しますね。日本はますます離されてしまいます。 (マウラ) どうやら日本の大学は、メンタリティが違うようですね。大学のシステム自体が違うので、単純に比較はできないですが。日本の大学では、教授に多くの自由度があって、自分で企業を訪問し、プロジェクトを取ってきて、それを学生にやらせる、ということが可能なのでしょうか? (岩本) 日本の大学の先生がたは、大学の外の人、企業の人との付き合いはほとんどないです。ドイツの大学の先生方が企業人と付き合いがあるのに比べると、日本の大学の先生の企業との付き合いは、極めて少ないです。日本では、どのような大学であっても、学術研究をする形になっているので、産業界との研究協力が教授にとって、評価にならないのです。 (ブレム) 大学での研究が企業の思惑に左右されないというのは大事な点ですが、ただ大学ごとに違う役割があって、学術研究をメインに行う大学もあれば、私たちの大学のように応用がメインの大学もある、ということが重要だと思います。 この大学には、1万8000人の学生がいて、教授は500人います。ミュンヘン専門大学は、ここにある建物は一部だけで、あちこちに建っていますが、ドイツでは1、2位を争う規模の専門大学です。 (岩本) 日本では、かつて地方に設立された大学は、地場産業の振興を支援する目的で設置された大学もありましたが、いまでは、学術研究をして論文を書くという傾向になっています。それは「ミニ東大化現象」と呼ばれています。日本政府は、立地している地元への貢献として産学連携を進めるよう言っていますが、ほとんど進んでいません。 (マウラ) 学生が企業とつながりを持ち、学生をその企業で使ってもらい、その会社が必要としているプロジェクトを大学で引き受けて学生にやらせるというやり方は、人材育成のために行っていることです。その会社のために研究を行って、そのために会社から研究費をもらうこととは別な話だ、と私は捉えています。自分の研究は、それはそれとしてやればいいのではないでしょうか。 4 外国の大学との協力 (ブレム) 我々の大学は、他の外国の大学、たとえばフィンランドとかカリフォルニアにも提携大学があります。我々の姉妹校ではなく、他の外国の大学で、同じような人材教育を行っている大学と提携し、学生どうしが交換留学をしたり、あるプロジェクトを2カ国語、2カ国で同時にやらせる、という仕組みもあります。教授どうしの交換もあります。そうして、学校内だけの活動に収まらないように努力を続けています。私もよく海外の大学に行って教えることがあります。 (マウラ) 南アメリカのプロジェクトとカリフォルニアのプロジェクトは私が担当していました。そうした経験からいえば、我々の大学のような内容の人材教育を行いたいと思っている大学は世界中にたくさんあることがわかりました。同じような内容の人材育成を行っている大学と一緒に提携して、交換留学や研究のプロジェクトを一緒に行いたいと言っている大学もたくさんあるので、単につなげればいいだけなのです。 (岩本) 日本でも共同研究や交換留学をしてくれるような大学が出てくればいいですね。 (ブレム) 私たちも日本には興味あります。 (マウラ) 1つの例をお話しさせていただいてよろしいですか。南アメリカのケースです。エクアドルの大学は、全く大学のシステム違いますが、若くてすごく優秀な教授で、新しいことにチャレンジしたい、という教授を3人見つけて、私はそこに行って、3人の教授にコーチしました。その結果、その3人が我々の大学の内容の授業を行うことができるようになりました。上からの指示ではなく、ボトムアップです。上のほうの有名な教授たちではなく、本当に若くて興味があって、新しいことにチャレンジしたい若い教授というのが大切です。 (ブレム) 私たちが教えた内容は、いろんなことができて、すごく楽しい、すごく楽しい、と喜んでいました。 (岩本) それでは、もし日本のどこかの大学と、協力や連携、教授や学生の交換などが可能になりそうであれば、ここの大学は対応できるのでしょうか。 (ブレム) もちろんですよ。 (岩本) 日本の大学は、かつては優秀でしたが、いま学生を集めるのにとても苦労している大学が地方にたくさんあります。 (マウラ) 我々の大学と提携して、インターナショナルプロジェクトを行っていて、その大学を卒業するといい会社に就職できます、ということが理由で学生の応募が多くなるということもあり得ます。 (岩本)今、日本の企業は、IoTの知識と経験を持った学生を求めています。先ほど皆さんがおっしゃったように、この大学の学生に対して、企業からの反応がとても素晴らしいのであれば、全く同じように、日本でもIoTの知識と経験を持った学生は、日本企業から非常に高く評価されると思います。 (マウラ) 教授が、新しいことをやりたくないというのは、私たちもよく知っています。ドイツにも、インダストリー4.0と一切コンタクトを持ちたくないという教授もいますから。 我々の大学にも、プロジェクトが失敗したらどうしようとか、企業に頭を下げてお願いするのは嫌だとか、個人的にそういうのは嫌だという人もいます。ただ、我々の大学の教授の大部分は、プロジェクトができあがっていって、成功の喜びを体験して、学生が育ち、新しいことにチャレンジすることが楽しいと感じる人々です。 (ブレム) 私たちも何でもかんでも企業のプロジェクトを引き受けるのではなく、授業に即した、きちんとした内容で、生徒のレベルと方向に即したものを選んでいます。この点は、とても大切です。学生の成長のために、勉強のために、企業のプロジェクトに参加することがとても大切なので、これをやったら幾らもうかるか、といったお金の問題ではありません。 (マウラ) 私たちは人材派遣業ではありません。私たちが責任を持っているのは学生の教育なのです。教育の結果として、仕事が得られることはいいことですが、それは結果でしかありません。それ自体が目的であってはいけないです。教育の目的は、学生が勉強すること、成長することなのです。日本の大学が、産業界の期待に応えられないという状況にあるのなら、これがきっかけで、何とか突破口を見つけられるかもしれないですね。 (ブレム) 興味がある教授がいたらいいですね。そこが大きな躍動力になるわけですから。 (マウラ) 1つ、私からアイデアがあるのですが、私たちの大学では、教授職を得るには最低でも5年間、企業で働いていなければならないのです。日本の大学でも、教授は理論だけではなく実践も知識も必要で、現場の能力も必要だからという理由で、一部の大学や学部に限ってそういう条件を付けてみたらいかがでしょう。 私が大学生だった40年前、私の教授は理論だけで現場を知りませんでした。そのため私は大学時代楽しくありませんでした。だって、本だけ読んで、論文を書いていましたから。大学は楽しくなかった、という印象があります。就職して現実に現場に行ってみると、大学で学んだことが全然意味がなかったような気がしました。今、私は、そのときの経験を基に、今度は自分が教授になったので、実践しています。できるだけ現実に即した教育を行っていきたいと思っています。 (ブレム) ミュンヘン工科大学やミュンヘン大学という、本来学術研究に重きを置いた大学であっても、次第に現場寄りになり、現場の実践にますます重きを置いてきているのがひしひしと毎年感じています。 ドイツでは、職業訓練のシステムから大学のシステムまで、常に実践と理論の両方が大切だという認識があり、これまでは実践をやる人と理論をやる人が分かれていましたが、次第にくっついてきた、という経緯があります。私たちも実践がメインとは言っていますが、実践も研究も、どちらも大切だという認識では全員共通しています。 現実として、今、インダストリー4.0が世界中で動いているにもかかわらず、自分たちがそこに参加できないと面白くないじゃないですか。 (マウラ) もし日本の大学で、何か協力や連携とか、人の交換ができそうであれば、喜んで日本の大学に私たちが行って、私たちの経験、エクアドルでやったような経験の説明をします。コーポレーションをやるからこちらに来てください、ではなく、それをやるにはどういうことが必要かということを日本に説明に行くことは全然問題ありません。 (岩本) 最初に申し上げたように、ドイツの専門大学のような種類の大学は、日本に存在しません。ドイツにこういう種類の大学が存在しているというのを知っている日本人もほんのわずかしかいません。私もいろいろな方々にドイツの専門大学の説明をしても、日本に存在しないので、理解できない方々が多いのです。ただ、日本の第4次産業革命には、この大学で育成されているような人材は必要だと思います。 (ブレム) 助けが必要なときは、いくらでも言ってください。 2017年8月22日掲載 印刷 この著者の記事 第166回「テレワークが減少している」 2024年4月 3日[IoT, AI等デジタル化の経済学] 第165回「生成AIが雇用に与える影響」 2024年3月 6日[IoT, AI等デジタル化の経済学] 第164回「DXからみたグローバル・ニッチトップ企業の日独比較(6)」 2024年2月21日[IoT, AI等デジタル化の経済学] 第163回「DXからみたグローバル・ニッチトップ企業の日独比較(5)」 2024年2月 1日[IoT, AI等デジタル化の経済学] 第162回「DXからみたグローバル・ニッチトップ企業の日独比較(4)」 2024年1月29日[IoT, AI等デジタル化の経済学] コラム・寄稿 コラム Special Report EBPM Report フェローに聞く フェローの連載 リサーチインテリジェンス IoT, AI等デジタル化の経済学 関志雄:中国経済新論 中島厚志の経済ルックフォワード 小林慶一郎のちょっと気になる経済論文 エビデンスに基づく医療(EBM)探訪 空間経済研究ノート 国際貿易と貿易政策研究メモ 社会保障・経済の再生に向けて 経済問題:WHY? 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